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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第22章 初めての東京遠征


次の日の放課後、私のスマホに飛雄からのLINEが届いた。それには学校から少し離れた場所が書かれていて、そこに来いというものだった。

今日は部活がない、家に帰ったらバレーに付き合えとは言われると思っていたけど、一体どこに向かうつもりなのだろう。




『……あ、』


待ち合わせ場所には、フェンスに背中を預けた傷だらけの飛雄が立っていた。私は駆け寄って声を掛ける。



『影山くん』

「……おう」

『どこに行くの?』

「…………」


何も言わずに歩き出す飛雄。
私は早足でその隣に並んだ。



『ねえ…手、本当になんともない?』

「あ?昨日の夜に確かめたろ」


あの取っ組み合いで手に不調をきたしていないか、私は夜寝る前に確認をさせてもらっていた。


『一晩経って、とかあるかもしれないじゃん?』

「何ともねえよ」

『そっか…!ならよかった』


「お前は?」

『ん?』

「…ケガ」

『あー…腕の傷がお風呂でちょっと滲みたくらい』


「悪かったな」

『ううん、私が勝手に飛び込んだんだしさ。そういえば日向くんも教室まで謝りに来たよ』

「……そうか」



日向くんとの取っ組み合いの時、飛雄はチームのバランスが崩れることを危惧していた。せっかく掴みかけたチームとしての戦い方、それを無に帰してまで今やるべきことではないと。


…やっぱり言葉は足りなかったけどね。






しばらくたわいもないことを話しながら歩いていると、目の前に市民体育館が見えてきた。



『え…まさか目的地ってここ?なんで?』



飛雄を見上げると、当の本人も何故ここに来たのか分からないといった顔をしていた。コートを借りるにしてもアポなしでは難しいはずだし、何より私は今体育着すら持っていない。


それでも歩みを止めない飛雄の後に続いて、体育館の入口までやってきた。



『…ねぇ、影山くん』




「徹!サーブ教えてくれよ!」

「ちょっ!?まず呼び捨てやめようか!」




「!?」



『ぐフッ』


いきなり立ち止まった飛雄のエナメルバッグにお腹を勢いよくぶつけた。



『ぢょ…いぎなり止まらないでよ゙!』





「ア゙ッ?」
「ゲッ!!」




「及川さん」
「飛雄!!」




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