第22章 初めての東京遠征
「くっ……か、げやまぁあぁあああああ!」
「!?……うっ」
「らぁっ!」
日向くんは飛雄の名前を叫びながらお腹にしがみついた。
「クッソが!放せ!!」
「トス上げてくれるまで放さない!!」
「っ!……オ、ラアッ!!」
「うあっ!」
ぐわん、と日向くんの体を遠心力で持ち上げて飛雄はまた投げ飛ばした。それを見た仁花ちゃんは、体育館を飛び出して行く。
日向くんはまた起き上がって、飛雄にしがみついた。
『だ…だめっ、日向くん!』
日向くんとの間に割って入って守るように私も飛雄の身体に腕を回す。
「上げろ!」
「…っざけんな!!」
「あの速攻止められたじゃねえか!今日も…っ青城戦も!」
「てめえ!俺のトスが悪かったって言いてえのか!?」
「ちがう!そうじゃない!完璧だった、ドンピシャだった!なのに止められた!!おれが今のままじゃ、上にはもう通用しないんだ!」
「…ングッ!」
『………っ』
私じゃ2人を止められない…!頭上で行われる激しい取っ組み合いに為す術なく、それでも私は飛雄のお腹あたりに顔を埋めながら必死にしがみついていた。
「おい!お前らやめろおっ!!」
そんな声が聞こえたと思ったら、私は飛雄と一緒に体育館の床へと投げ倒されていた。