第22章 初めての東京遠征
そして、
「ありがとうございましたー!」
「「「あーっシタ!!!」」」
初めての東京遠征は幕を閉じた。
『冴子姉さん、本当にありがとうございました!』
「「あざした」」
「気にすんなって!アタシも楽しかったからさ!」
じゃーな、と手を振って冴子姉さんは先に出発して行った。
そのあと、飛雄と日向くんは目も合わせようとしない。菅原先輩も2人を気にして悩んだ顔をしていた。
「じゃー、またな!」
「じゃーな!」
各学校に挨拶をした私たち。日向くんもリエーフくんと次会った時の話をしていた。
「鈴木さん、またな」
「気を付けて帰るんだぞ!」
『黒尾さん、木兎さんどうもありがとうございました!』
「次はリエーフにレシーブ教えてやってよ」
『あはは…そんな恐れ多いですよ!』
「そういや鈴木さんとバレーしてねえ!次はやろーな」
『楽しみにしてます!』
「なあ鈴木さん、やっぱりこのまま音駒のマネになっちゃう?」
『なっ!』
「監督も鈴木さん欲しいって言ってたしさ、あーでも怒られちゃうかぁ!…セッターくんに」
最後のワードだけ小声で言った黒尾さん。私の肩越しに向けられた視線に振り返ると、少し離れたところに飛雄が立っていた。もしかして、昨日の夜に2人でいたことを言ってるのかな。
『あの黒尾さん、』
「すみませんこれウチのなんで…失礼しま〜す」
『わっ!』
「ホラ帰るよ」
私の首根っこを掴んだのはツッキーだった。バスまでやってくるとポイッと離される。
「月島ナイス!」
「鈴木さんが盗まれなくて良かった!」
『日向くん、盗まれないってば!』
「音駒に行くにしても、まずは仙台まで荷物取りに帰らなきゃでしょ」
『い、行かないよ!』
「そう?行きたそうだったじゃん」
『私は烏野のマネージャーです』
「あっそ」
『ツッキーめ…!』
バスに乗り込むと、潔子先輩と仁花ちゃんが並んで座っていた。1人席を潔子先輩に勧めたら、気にしないでと言ってくれたのでお礼を言って座らせてもらった。
「じゃあ出発しますよー、到着は20時頃の予定です」
「「『よろしくお願いします!』」」
「はーい」
私たちは外のみんなに手を振って出発した。