第22章 初めての東京遠征
『木兎さん、どうですか?』
「おおっ!」
『予防なので重心前目に指が弾かれないように固定しています。それとウィングスパイカーと伺ったので、スパイクの時に違和感出ないように少しだけ柔いテープを使いました』
「すげえ、キツくねえのに動かねえ!黒尾の言ってた通りだ、鈴木さんサンキューな!」
『いえいえ!』
「この早さでこの正確さ…本当にすごいですね、俺も教えて欲しいくらいです」
『この程度で良ければいつでも』
「それはそうと木兎、テーピング中に顔見すぎな」
「だって仕方ねえじゃん、すげえ可愛いんだもん!」
『えっ!?』
「鈴木さん、すげえ可愛い!」
真っ直ぐな目に力強く見つめられる。私は目を合わせていられなくなってすぐに逸らしてしまった。
『す…すみません、私そういうのに慣れていないので…』
「え、嘘だ!こんなに可愛いのに!」
『ちょ、木兎さんもうやめてください!』
「なぁんでよ!」
「木兎さん、その辺にしてください。いじめたら可哀想じゃないですか」
「いじめてねえし!俺は褒めてんの!」
「じゃあ仮に木兎さんが、突然目の前で女子にカッコイイカッコイイって言われたらどう思うんですか」
「そんなん嬉しいに決まってんだろ!テンション上がる!」
「はぁ…木兎さんに聞いた俺が馬鹿でした」
「ん?赤葦はバカじゃないだろ?」
「はい、そうかもしれませんね。…鈴木さん、だっけ?ごめんね」
『いえ!冗談を流せず真に受けてしまってお恥ずかしい限りです…じゃあ私そろそろ行きますね、失礼します』
「あ…うん、またあとで」
『はい、木兎さんもありがとうございました!指に違和感があったらまた呼んでくださいね』
「ん!頼むな!」
「おーい、鈴木」
『はい!』
コーチに呼ばれて向かうと、ゲームのルールを説明してくれた。審判は基本的にどちらかの控えの選手がやっているそうだった。