第22章 初めての東京遠征
すごい、髪の毛が重力に逆らってる…西谷先輩みたい。みんな背も高いし、体つきがガッシリしてるなあ。これが東京の強豪校か。
チラッと飛雄を見ると、その姿はいつもよりも小さく見えた。
「…んだよ?」
『いや影山くんが小さく見えるなと…』
「あぁ゙!?」
「ぶふっ…影山が小さいって」
「日向てめえ、俺が小せえってことはおめえはコビト以下だよ!」
「いだだだだ、頭はなせ!」
「ははっ、日向が被弾した!」
『わ、山口くん!それにツッキーも久しぶり!』
「キミ馬鹿なの?昨日会ったばかりでしょ」
「でも鈴木、俺なんとなく気持ちわかるよ!」
「ちょっと、こんなことで分かり合わないでよ…てか、梟谷の人すごい見てるけど」
確かに視線はずっと感じていた。黒尾さんにのしかかって、高いところからジーッと観察されているような不思議な視線を。
『……あ、あの?』
すると、鳥が狩りをするかのように突然私との距離が詰められた。間近でキラッと光った目に驚いて、私は咄嗟に飛雄の後ろに隠れる。
「なにしてんだ?」
『き……危機感』
前に飛雄に言われたから、危機感を持てって。
「あーあ、怖がらせちゃった」
「当たり前だろ、木兎……あー鈴木さん、こいつ梟谷主将の木兎ね」
『こ、こんにちは木兎さん』
「オッス!」
「んで木兎がさ、鈴木さんにテーピングして欲しいんだって」
『えっ、指痛めてるんですか!?』
「んーや、痛めてないよ?」
『よかった!予防ですか?』
「うんまあそんな感じ」
『?』
不思議に思いながら私はポケットからテーピングセットを取り出した。