第22章 初めての東京遠征
黒尾 side
「日向ボゲ!腰が高ぇんだよ、ホラ鈴木さんの見ろ!」
「ねえ鈴木さん!なんで同じとこ返せんの!?」
「なんでじゃねえ、お前が下手くそなんだ!」
「黒尾よそ見すんな…って言いてえけど、なんだよあれは?」
「…いやホント、なんなんだろうな」
俺たちは目の前の異様な光景から目が離せなくなった。何故なら対人パスでアップをしていたのは超人コンビだけじゃなかったから。
「サームラくん、あれは一体」
ペナルティを終えてヘロヘロの澤村に声を掛ける。
「ああ…鈴木は今…俺たちの練習に、参加してるんだ…」
「「はあっ!?」」
「サーブレシーブと、スパイク練…な」
「…ってかあのセッターくん、鈴木さんに対して手加減なしにガンガン打ってるけど」
「あれはまあ、うん…いつも通りだな」
「まじかよ、すげえ…」
本気出せって言われても、俺は鈴木さんにあんな球打てねえわ…。
「レシーブ超上手いじゃんあの子!おいリエーフ!お前ああいうレシーブ出来るようになれよ!」
「夜久さん俺も頑張ってますって!てかあの子超可愛いっスね、黒尾さんが話してたのってあの子のことですか!?」
「そう、あれが鈴木さん。どうよ?ハイスペックでしょ」
「はい!…あ、こっちくる」
アップを終えて、3人はこちらに歩いてきた。各学校インターバル中の今、この3人に全員の注目が集まっている。
「キャプテン、アップ終わりました!」
「おう、お前ら補習は?」
「バッチリです!」
「ホントか鈴木?」
『はい、ちゃんと一回でクリアして田中先輩のお姉さんに送っていただきました』
「姉ちゃんの運転やばかったろ、無事か!?」
『それが私、心地よくていっぱい寝ちゃって…』
「ブハッまじかよ!勇者だな鈴木」
「やあ、キミたち久しぶり」
「「ちわっす!」」
『あっ黒尾さん!音駒の皆さんもお久しぶりです』
「なによ、鈴木さんはテーピングとスコアじゃ飽き足らず練習にまで参加してるんだって?」
『へへ…ちょこっとですけどね』
「なあ黒尾ー!この子!?」
俺の肩に腕が回って、その体重に少し体がよろける。