第21章 影に隠した秘密
──翌日。
私たちは補習を受けるために1年1組の教室にやってきた。そこには既に1組の担任で英語の小野先生が待っていた。教科に関係なくここで補習が行われるらしい。
「「はざす」」
『おはようございます』
「ああ、おはよう……って鈴木〜!」
『あ…私は付き添いです』
「そんなの分かってるって!鈴木は学年で唯一の満点だったからなあ…いやぁ、よく頑張った!よしよし」
『えへへ』
「「…満点」」
「お前ら、さっさと補習終わらせて可愛いマネージャーを東京に連れて行ってやらなきゃな!」
「はい!鈴木さん連れて東京行きます!な、影山」
「はい、行きます東京」
キーンコーンカーンコーン…
「よし、じゃあ補習始めるぞ〜!鈴木はそこの席座ってていいぞ」
『ありがとうございます!』
私は飛雄の隣の席に座った。
一生懸命に課題プリントを解く2人。そのペンの動きは、坂ノ下で勉強していた時とは雲泥の差だった。そして、時間がくると補習用のテストが配られる。待ってるのも暇だろうということで、小野先生は私の机にも国語と英語のテストを置いた。
「はじめ!」
当たり前だけど、テストの時とはまた違う問題だった。1問目の問題を理解したのかカリカリという音が隣から聞こえ始めて、思わずその方向を見る。
制服を着て同じ教室で飛雄と隣の席に座っている。こんなこと、これまでに一度もない経験だ。
…なんか嬉しいな。
『………』
真剣な表情の飛雄を見つめていると、その視線を感じ取ったのかチラッと私を見た。
『!』
「………」
気まずそうに口を尖らせる飛雄。私はバッと目を逸らして手元のテストを解き始めた。
20分くらいで国語のテストを解き終わって、私は英語のテストに取り掛かった。すると小野先生は、ペラッと私の机から国語のテストを持ってそれをじっと見つめていた。
「はーい、終了!ペン置け〜」
解答用紙が回収され、先生の丸つけの音が教卓から聞こえていた。