第21章 影に隠した秘密
「鈴木、これ日向の丸つけ頼む」
『えっ』
「こいつら時計ばっかり見て、私にプレッシャー掛けてくるんだよ…はいよろしく」
渡されたのは日向くんの解答用紙と私の解答用紙だった。
『あの、正答はどれを見たら…?』
「あぁ、それは鈴木の答案を」
私の解答用紙を見ると、大きく花丸が書かれていた。
『あ…』
「満点花丸大合格!」
「なぬっ!?」
「は!?」
「鈴木を見習え」
「「……ッス」」
先生と私が丸つけをしている間、2人は神に祈るように手を合わせていた。
『先生、終わりました』
「Thank you」
『It's my pleasure』
「ふふっ、さすが鈴木だな」
「な、なに!?鈴木さんなんて言ったの!?」
『ん?どういたしましてって』
「え!?俺が知ってるのと違う」
『日本語にも同じ意味だけど違う言い回しの言葉ってあるでしょ?それと一緒かな』
「へえ…すげえ」
「知識ってのはあるのとないのじゃ天と地の差なんだ。バレーだってそうだろ?知ってる戦術が多い方が強い」
「そうか」
「…たしかに」
「バレー以外にもその情熱が向いてくれたら先生は嬉しいんだけど……っと」
先生は最後の問題を採点し終えて、点数を書き込んだ。そして、目線を上げる。
「日向、影山………フッ」
「「はっ…!」」
「合格だ!」
「「あざーっす!!」」
2人はバタバタと荷物を纏めて席を立った。
「おい、鈴木さん早く!」
『わ、わかってるって…!小野先生、ありがとうございました』
「おう、行ってらっしゃい」
『はい!行ってきます…待ってよー!』
「早く早く!」
「おせえぞ!」
「がんばれよ〜っ!」
廊下を走る2人を私は必死に追いかけた。
『はあっ…はっ、そういえば救世主って?』
「はっ…はっ、えっと田中さんの」
『田中先輩…?』
「うん……あっ!」
「ヘイ!赤点坊主ども……乗りな」
私たちの目の前に現れたのは金髪でタンクトップのド派手な女の人だった。