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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第21章 影に隠した秘密


谷地 side

美里ちゃんの教え方は本当に丁寧すぎるくらいに丁寧で、それでいてとても分かりやすい。頭の良さが、話の端々から伝わってくるようだった。なのに、日向の耳には多分それが届いていない。だって、日向は湯気が出そうなほど真っ赤な顔をしてずっと俯いていたから。


『…で、“he”, “she”, “it” の時は “has” を使うの。それで』

「ちょっ…ちょ、タンマ!!」


『ん?分かりにくかった?』

「そっ…そうじゃなくて…!」





日向は影山くんのことをチラリと見た。







「っ…おまえ、悪くなかったかも…」

「だから言ったろ」





『え?』

「あっ!…ご、ごめん鈴木さん」



『んー…だめだった?』

「…だめ?」



『私、やっぱり教えるの下手かな?』

「え!?」



『へへ…人に教えるのってやっぱり難しいな、英語は得意だったからいけるかと思ったんだけど…ごめんね』

「鈴木さんは悪くない!むしろ謝るのは俺の方というか…!」

『大丈夫大丈夫…わかってたから』

「決してそういうことでは…っ!」




「えぇ?すごく分かりやすかったけどなぁ」

「山口にはアレが効かないのか」

「山口が特殊なんですよ」




椅子を元に戻す美里ちゃんを目で追う。もし美里ちゃんに動物の耳が付いていたら、きっと今は垂れ下がってるだろうなというくらいにしょんぼりとしていた。



……いかん!この空気を変えねば。


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