第21章 影に隠した秘密
谷地 side
「お前ら…なんでテストの時より点数悪いんだよ…」
坂ノ下商店で同じテストをもう一度解いた2人に対して、縁下先輩が呆れたようにそう言った。たしかに日向も影山くんも本番のテストよりもだいぶ点数が下がっている。
「なんか…テスト終わったら暗記したのもどっか行っちまって…」
「試験のとき無理やり詰め込んだから、1分1秒ごとに耳からポロポロって…」
「てか影山!学年トップと同じ家に暮らしてて、なんでこうも学力に差が開くんだよ」
「……わかりません、つかコイツ家でほとんど勉強してないし…なんでこんなに点数が良いのかすらわかりません…」
「家で勉強してないって?」
『してますしてます!毎日その日の授業振り返ってます!』
「嘘だ、お前俺と寝るタイミングいつも一緒じゃねえか!」
『影山くんがボールいじってる時間、私は机に向かってるでしょ!あれ勉強してんの!』
「机向かってるってほんのちょっとだろ!」
「…え?鈴木どれくらいしてるの?」
『15分くらいですかね?気になるところだけ復習して、問題ちょこっと解いたり。…歴史とかは気になり出すと100年単位で遡りたくなる時ありますけどね』
「100年単位…」
「15分!?少なっ!」
「多分鈴木、気になるところがそもそも少ないんじゃないですかね。授業中もなんかすごい脳みそ動いてそうな顔してるし」
「あぁ…大体はその瞬間に完結してんのか…すげえ」
やっぱりすごいな美里ちゃん…満点入学っていう噂、嘘じゃなかったんだ。入学式の挨拶もすごかった、あの日帰ったらうちのお母さんが珍しくベタ褒めしてたもんな。まさかあの時の鈴木さんと今名前で呼び合う仲になってるなんて…信じられなさすぎる。人生何が起こるか分からないって本当だ。