第21章 影に隠した秘密
部活が終わり、補習が決まった2人のために坂ノ下商店で対策をすることになった。徐々に部室下に着替え終わったみんなが集まってくる。あとは木下先輩と成田先輩だけらしい。
「おい、澤村!」
「おぉ桂森、サッカー部も終わりか?」
「あぁ、それより1年の鈴木さんすげえな!」
『えっ?』
「うわぁっ!?本人!?」
「はは、桂森だって鈴木がうちのマネージャーだって知ってただろ?で、鈴木がどうしたって?」
「え、お前まだ見てないのか?」
「何をだ?鈴木、何かあった?」
『いえ、何もないですよ』
「え!?本人も知らないの!?」
「だからなんだよ?」
「いや、だったら自分たちで見てきた方がいいって!昇降口入って曲がったとこの突き当たり」
サッカー部の3年生が言ったことが気になって、私たちはみんなで昇降口のところまでやってきた。
「お前なんかやらかしたんじゃねえの」
『…うそ、怖いんだけど』
「王様には言われたくないんじゃない?」
「あ?」
言われた場所へやってくると、そこには大きな3枚の紙が貼り出されていた。
「「「えぇっ!?」」」
『えっ、なんですか!?』
「まっ……まじ!?」
「すげえじゃん!」
「鈴木…やべえなお前!」
『え?』
みんなの視線の先を辿ると、そこに書いてあったのは期末テスト各学年の上位10名の氏名と総合点数だった。
「1位…1年4組鈴木美里……はあ!?490点!?」
「鈴木さん、5教科で10点しか間違ってないってこと!?」
『えっと…うん、そうだね』
目玉が落っこちそうなくらいに目を見開いた飛雄と日向くん。
「美里ちゃんすごーい…っ!」
「ハハッ!キミら点数分けてもらいなよ」
白い灰のようになった2人を連れて、私たちは坂ノ下へと向かった。
1位か…これまでならこうやって掲示されるのはすごく嫌だったかもしれないけど、今はあまり気にならないや。ツッキーのおかげかな。
『ありがとね、ツッキー』
「は?まだパックジュースひとつも買ってないんだけど」
『…ふっ、来週からお願いしまーす』
「……ムカつく」