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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第21章 影に隠した秘密


『失礼します』


私がノックをして部室に入ると、そこには既にあの2人は正座をさせられていた。


「おっ!鈴木」

『こんにちは』


「鈴木も座れ」

『……はい』


腕を組んで仁王立ちした澤村先輩は私たちを見下ろした。



「いいか、お前ら」


「「『………』」」


「お前らは今日、何も見なかった。何も起きなかった。何も落ちなかった」


「「『はい』」」


「…だいたいお前が “ズラす” とか言い出したからだボケ!」

「お前がしつこくズラズラ言うから90点合格にされちまったんだろ」


「おいやめろお前ら!いい加減にしないと大地が…あっ!」


澤村先輩は2人の肩を掴んで凄みを利かせた。



「いいから、解答用紙出せ」

「「…はい」」





菅原さんは解答用紙を見ながらため息をついた。

「まああんまり落ち込むなよ、遠征は今回だけじゃ…」



「どうやって東京いく?走るか」

「チャリだろ」




何言ってんのこの人たち…。




呆れた私は頭を下げて部室を出ると、マネージャー用の部室へ向かった。



「あっ…あれ1年の鈴木さんじゃない?」

「ほんとだ…あれ見た?」

「見た見た!超すごかった」






『…………』



部室に来るまでの間も、数人に同じような反応をされたっけ。見た、って何をなんだろう。

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