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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第4章 “頂の景色”


影山 side

退屈な入学式がようやく始まった。
パッと始まってサッと終わりゃいいのに。

誰か一人が壇上に立つととにかく長い。誰も興味のないテンプレのような堅苦しい話を延々と…マジでこれ誰得なんだ?それに、こんな感じの式でしか聴かないような、どこが始まりでどこがサビかもわからない曲を流されると眠くなる。

パチパチと拍手が聞こえて、また誰かの長い話が終わったのかとぼんやり拍手する。


次は誰だ、新入生代表?…もうマジでどうでもいい、誰だか知らねえがそいつ頼む、秒速で終わらせてくれ。









「新入生代表1年4組 鈴木美里」

『はい』






















「…はぁ!?」

あまりの驚きに俺は思わず声を上げた。その声に反応したヤツらが一斉にこちらを振り返る。


ヤベッ…

俺は慌てて下を向く。



俺たちの列よりも後方からゆっくりと歩いてきた美里は、比較的通路側にいた俺の横を通る瞬間、制服のポケットからチラリと白い封筒を見せ俺の目を見ると小さく舌を出した。


「…っ、」



な…なんだよあいつ!
新入生代表なんて一言も言わなかったぞ!

しかもあの白い封筒、あれは挨拶の文章が書いてあるやつだったんじゃねえのか!?…そんな大事なもの忘れるかよ普通。昔からこういう大事な時に限って抜けてるヤツだったけど、いよいよ本気で心配になってきた。








──そして脳裏に焼き付いた、赤い舌


「〜〜っ、」



…マジで、
もうマジでなんなんだよあいつ…!!








「…影山くん、知り合い?」



キジマさんからの問いに、俺は首を勢いよく横に振った。



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