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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第21章 影に隠した秘密


「購買行こうぜ〜」
「急がないと焼きそばパンなくなる!」




「「『…………』」」


私たちバレー部の1年生6人は廊下に集まっていた。






全教科のテスト返しが終了した昼休み。お昼ご飯を食べようといつものようにお弁当を広げ始めていたら、突然真っ青な顔の仁花ちゃんが教室に飛び込んできた。


「美里ぢゃん月島ぐん山口ぐん!」



『ひ、仁花ちゃん?どうしたの』

「どうしようどうしよう〜!」


わたわたと慌てる仁花ちゃんの後ろに目を向けると、これまた真っ青な顔の飛雄と日向くんが立っていた。



「ヒッ!びっくりした…!」

「なに?」



『……えっ、嘘でしょ?』





こんな流れで冒頭に戻るわけで、ズーンと黒い何かを背負ったような飛雄と日向くんを前に私たち4人は佇んでいた。私の手には飛雄の、仁花ちゃんの手には日向くんの答案用紙がそれぞれ握られている。



影山飛雄…38点。




『おっ…おし、惜しかったね?』

「…………」




「合ってるのに、合ってるのにぃ!」


ポロポロと涙を流す仁花ちゃん、日向くんはどうやら答えの欄が途中で一つずつズレてしまったらしく点数が貰えなかったらしい。



「フフフッ!で、2人とも赤点で補習が決定したわけだ」


私の手元の答案用紙を覗き込みながら、心底面白そうにツッキーが笑った。


「笑えないよっ!せっかくあんなに頑張ったのに!」

「あとは教頭先生にでも一生懸命頼むしかないんじゃない?…無駄だろうけど」


ツッキーの言葉にピクリと反応した2人は風のような速さで廊下を駆け抜けていった。


『あっ…』



「まあまた次の機会に……あれ、どこいった?」



『走り抜けて行ったよ、向こうに』

「え?まさか教頭のところに行った?」


『やっぱりそうかな…?』

「ホント単細胞」



『ちょっ…ちょっと私見てくる!』





「えっ、鈴木!?」

「美里ちゃん!」


せっかく教頭先生のバレー部に対する評価を改めてもらおうと思ってたのに、これじゃあまた地に落ちてしまう…!私は2人の消えた方向へ向かって走り始めた。

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