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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第21章 影に隠した秘密


菅原 side


…トッ……バゴッ…



「ん……っ、」


目を擦りあくびをしながら体を起こすと、そこは見慣れない部屋だった。あぁそうだ、昨日は影山んちに泊まったんだった。

鈴木の兄ちゃんの部屋には話し合いの結果大地が寝ることになって、俺と旭がベッドを使わせてもらった。俺よりも理性の強そうな旭に鈴木側のベッドを譲ったら、消灯してから少しして「ちょっと鈴木を意識しすぎておかしくなりそう」と言い出したので結局俺が鈴木側で寝た。

匂いはマジで影山と同じだったけど、その中にもどこか女の子らしい甘さを感じて超耐えながら眠りについた。



ザリッ……ドガッ、




外から何かの音が聞こえて、自分がこの音で目が覚めたことを思い出した。窓に目を向けると、そこにはジッと外を見つめる月島の姿があった。



「……つきしま、おはよ」


「あ…おはようございます」

「なにみてんの?」



ベッドから起き上がって、他の人を起こさないように月島の隣に並んで外を見る。




そこには、庭のコートでスパイク練をする影山と鈴木の姿があった。


「朝はえーな…あいつら」

「…鈴木、テスト週間に入ってから朝練もないのにすごく疲れた顔で教室に来てたんです」

「そうなんだ」

「あんなの疲れるに決まってますよね」


「……混ざりに行かないの?」

「見てくださいよ、僕の入る隙なんてどこにもないじゃないですか」


鈴木のトスフォームを体に触れながら矯正する影山。学校では2人があんなに仲良さげに話しているところなんて見たことがなかった。


月島の言う “入る隙” がこの状況のことを言っているのか、はたまた2人の心の距離の話をしているのか俺にはどちらか分からなかった。





「……ん?ボールの音がする」



「ボール……はっ!?」



日向の声に反応するように、続々と起き始めた。



時刻は6時30分。



隣の月島を見ると、いつもの煽り顔を日向に向けていて先程までの切なそうな表情は完全に消えていた。



2人は幼なじみなだけで恋仲じゃない、だから気にせずいけよ。俺が月島にそう言ってやれないのは、影山の気持ちが見え隠れするからなのか。


自分でもよく分からないまま、日々は過ぎていった。

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