第21章 影に隠した秘密
菅原 side
あの後、影山と鈴木が夕飯の買い物に行くと言うので俺と大地と月島も付き添った。無事に買い物が済んで荷物持ちとしての役割を果たしつつ家に戻ると、鈴木はそのままキッチンの中へと入っていった。影山はとりわけこの光景が珍しくないのか、エプロンを着る鈴木には目もくれず、買ったものを袋から出して冷蔵庫にしまっていた。
それを俺たちは突っ立ったまま見つめている。
鈴木を好きか嫌いかで言うならもちろん好きだけど、俺のこれは恋愛感情の好きではない、はず。とにかく可愛いよしよしと愛でて、守ってやりたいと思う庇護欲的なソレの方が近いと思う。
それでも、俺的にこういうのは結構クるんだよな…。
頭が勝手に想像しようとする、鈴木と付き合ったらこうなのかなとか、鈴木と結婚したらこうなのかなとか、後ろから抱き締めたらどんな顔をするのかな…とか。
これが日常だなんて影山は実際のところどう感じているのだろう、てか思春期真っ只中の男子高校生が真夜中にこんなに可愛い子と2人きりの部屋で並んだベッドに寝て全く手を出さずに朝を迎えられるってどんだけ強靭な理性の持ち主なんだよ!
目の前で夕飯のおかずを作る鈴木がオカズになりそうなくらいの俺の最弱理性では絶対に無理だ。
あれ、幼なじみってそういう感じか?お互いに男女として見たりしないのか?影山や鈴木からは全然そういうの感じられないんだよな…。
つーか月島は家とか部屋のくだりで大分キツそうだったけど大丈夫かよ?好きな女の子がチームメイトの男と暮らしてるって相当しんどいはず…それに相手はあの影山だし。
「荷物置いてくる」
『わかった』
影山は俺たちに上を指さした。
階段を上がって部屋に入ると、動画を観終わったのか鈴木の机や棚に集まっていた。
「おい勝手に触ったらダメだろ」
「大地さん、見てください!これちっこい影山と鈴木!」
「え、写真?」
「わっ、ほんとだ!幼稚園かな超可愛い〜!」
「小さい頃の写真見ると、本当に昔からの幼なじみなんだって分かるな」
「影山も鈴木もあんま変わんねえな!」
「あれ、これって北一の卒業式?」
山口が指さした写真は、多分北一の卒業式のものだった。