第21章 影に隠した秘密
『…あれ?そういえばみなさん勉強会は?』
「あぁ、それな…」
「勉強会してたんだけど、実は途中でバレーやりたくなっちゃってさ…でも体育館は開いてないし」
『あぁっ、それでうちに?』
「え?いや、影山が北一の試合と及川のサーブ動画を持ってるっていうからお邪魔してたんだ」
『なるほど…私はてっきりバレーをしにきたのかと』
「え?どういうこと?」
「この辺に一般開放してる体育館なんてあったっけ?」
『え、話してなかったの?』
「ああ、来てからずっと試合みてた」
「なになに?」
『うち、庭にバレーネットが張ってあるんです』
「「「えぇっ!?」」」
『この部屋の窓からも見えますよ、ホラあそこ』
「まっ…まじかよ!?」
「うわ、ホントにあるんだけど…」
「半面くらいある、すっげえ…!」
「影山いつも1人であれ使ってんの!?」
「1人じゃトスもスパイクもレシーブも練習出来ねえだろ」
「え?……あっ、」
みんなが私を見た。
「……幼なじみの、練習相手ね」
『あはは…そうですね』
「…そういやお前、さっき階段上りながらなんか言ってたか?」
『あぁ忘れてた…えっとね、今日ママが遅いから夕飯は私たちだけなの。だから何食べたいかなっていうのと、買い物一緒に行ってもらえないかなって』
「わかった」
「なんだよおめーら、新婚みてえな雰囲気出しやがって!」
『し、新婚!?』
「うわああ!そうか!幼なじみで同じ家ってことは、影山は鈴木の手料理食べ放題ってことかよ!」
「?…まぁ、ハイ」
「まぁってなんだよまぁって!」
「いや、別に特別じゃないので」
「羨ましいぃい…そしてその言い方腹立つ!!」
「いいなぁ影山!俺もまた鈴木さんの手料理食べたい!!」
「俺も食べたい!!」
『じゃあ、今日食べていきます?』
「マジ!?」
『はい、みなさんさえ良かったら!』
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて…」
「「よっしゃー!」」
『みなさん、何が食べたいですか?』
「「「カレー!!」」」
『ふふ、わかりました!ちょっと足りない食材見てきますね』
私は部屋を出て廊下をパタパタと走った。