第21章 影に隠した秘密
スローモーションのように世界がぐるりと回転した。
──やばっ!
私は体に来る衝撃に備えて目をギュッと瞑った。
『っ!』
…あれ?痛くない。
私の身体には床に叩きつけられる衝撃がやってこなかった。その代わりに、何故か体の自由は一切利かず温かさに包まれていた。
トットットッと聴こえるこの音は…心臓の音?
『…ぅ…ん?』
ゆっくり目を開けると、私の体はガッチリと飛雄に抱き留められていた。
「ってェ…」
『!…飛雄っ!?指大丈夫!?』
「あぁ…なんともねぇ」
『ほんとに!?痛めてない!?』
私は倒れたままの飛雄の腕から這い出るとその手を取って指に触れた。
「大丈夫だって、それよりお前はなんともねぇのかよ」
『…うん守ってもらったから、ありがとう』
「……あの〜…」
突然聞こえたその声に私たちがパッと目を向けると、そこにはバレー部のメンバー全員がドアからこちらを覗いていた。
『はっ!』
わ、忘れてた…!!!
『あっ……あの、えっと……』
何か言い訳をしないといけない、そう思い口をパクパクとさせていると澤村先輩が何故か照れたように口元に手を当ててこう言った。
「…あー…その、お前ら…いつまでその体勢でいる気だ?」