第21章 影に隠した秘密
私はくるりと振り返って飛雄のシャツの胸元を両手で掴んだ。
『ちょっ、どう、どういうっこれ、なに!?』
「だから止めたのにお前が」
『わ…私逃げる……』
「待て1人にすんな!」
『私には無理だからあとはなんとかして…』
「俺にも無理だ!」
『はっ!?いやそもそも私こんなの聞いてないよ、なんとか誤魔化してよ!』
「んなの出来ねぇ!」
『やだ、離して!』
「嫌だ!」
『嫌だじゃない!』
「頼むこの通り!」
『どの通りだって!?それ言うならせめて頭を下げ…ねえ離して!』
「わかったから美里ちょっと一旦落ち…どぅわっ!」
『ギャッ!』
グイグイと引かれる身体に一生懸命踏ん張って耐えていたら、突然靴下がフローリングに滑ってしまった。すると飛雄はそんな私を引きながら同じように体勢を崩した。
ドッターン
私たちは大きな音を立てて倒れ込んだ。