• テキストサイズ

【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第21章 影に隠した秘密


影山 side

「わ、すっげえ及川!そこからセットアップかよ」

「これ及川さんがベストセッター賞獲った時の試合です」

「…これは納得だわ」

「あーまじかウシワカやばっ!」

「セッターどうこうじゃねえな、ウシワカは」


俺たちはすっかり熱中してそのまま試合の動画を立て続けに2本観ていた。


「わーっ!すげえ今の超クロス!!」

「拾ってみてえ!」




『──びおーっ!──るんだよねーっ?』


「?」



試合動画と部屋の歓声が合わさる中、声が聞こえた気がした。周りを見渡すが誰もその声に気付いた気配はない。


気のせいか。




そう思って再びパソコンの画面に目を向けると、





『とびおーっ?』




「!?」






今度はかなり鮮明に声が聞こえた。





──っ!美里だ





そういえば夢中になりすぎてスマホを確認していなかった。パッと手元のスマホを確認すると、美里からつい数分前に返事が届いていた。



── 《遅くなってごめん、もう着くよ!》




「…………」




まじか。







やべぇ。


おいやべえぞ、
これやべぇよな?







「……なあ影山、なんか呼んでね?」

「だよな日向、気のせいかと思ったけど…」

「誰?家の人?」






部屋には試合の歓声だけが響いて、全員ドアを向いて声を探るような体勢になってしまった。






何も答えられずに俺もドアを向いていた。






多分いつも通りなら美里はこのあと階段を上りこの部屋にやってくる。






ドッドッドッと気持ち悪いくらいに動き出す心臓。ツゥーッと背中を流れる嫌な汗。



頼む。これ以上何も言わずに向こうの階段を上ってせめて自分の部屋に行ってくれ。




俺は祈るようにギュッと湿る拳を握った。





/ 642ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp