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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第21章 影に隠した秘密


影山 side

ようやく家の前に到着した。

「ウチ、これです」


「まっ…まじ!?」

「でっけえな!?」

「他の家の倍あんじゃん…」


「2つの家がくっついてるやつ…なんでしたっけ」

「二世帯住宅?」

「ウチそれです」





「あれ?もう一軒のほう表札、鈴木じゃね?」

「!」


やっべ、表札の存在を完全に忘れてた。


「えっと…これは」


「鈴木と同じ苗字なんて偶然だな」

「たしかに、すげえ偶然!」



危ねぇ…。


「あのスンマセン、ちょっと部屋片してくるんでここで待っててもらって良いスか?」

「おぉ、全然気遣わなくていいからな」


俺は玄関に向かって歩き出す。とりあえず中に入って、部屋に行ったら俺たちの部屋の壁を閉じてそれから…


「なあ、影山?」

「あ?」


「そっち “鈴木さん” ちだけどいいの?」




「………」


俺は何も言わずに、自分ちの玄関へ向き直る。


「は!?お前、家間違えたの!?」

「緊張しすぎだろ!」

「でも分かるぞ影山、家に人呼ぶ時は妙にソワソワしちまうよな…」


「じゃあ…ちょっと待っててください」



「あいよー!」




部屋に着いた俺は、壁のボタンに触れた。


俺がこのボタンを最後に押したのは、すげぇガキの頃だったと思う。部屋を区切りたいからという理由ではなく、ボタンひとつで動く壁がただ楽しくて面白かっただけ。


「………」



俺は自分のベッドを少し手前に引いて、グッとボタンを押仕込んだ。すると、ズズズッと壁が動き出す。久しぶりに動かしたからか、少し滑りの悪い音がした。

そして俺のベッドと美里のベッドの僅かな隙間を壁が埋めていき、あっという間に俺だけの部屋の空間が出来上がった。


美里側の部屋にはぬいぐるみや俺たちの写真が飾られているが、こうして見ると俺側の部屋は本当に質素だ。とりあえずノートパソコンだけ机に出して、他に美里関係のものが無いかを確認して玄関に向かった。





「お待たせしました」


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