第21章 影に隠した秘密
帰り道、先輩たちと別れたあとに私は飛雄にチューペットアイスを買ってもらった。
『えへへ、ありがとう』
「…クソッ」
『飛雄、漢字と熟語は覚えたんだね偉いじゃん』
「けど問題数が少ねぇ…」
『たしかに、最初の数問だもんね』
私は手元のアイスをポキッと真ん中で折って、片方を飛雄に手渡した。これは子供の頃からの癖だった。
『はい』
「なんでだよ」
『だって、これ1人で食べるの変な感じするもん』
「じゃあもらう」
『うん、おいしー!』
「んめえ」
私はふと今朝届いたメールのことを思い出した。
『あっそういえば飛雄、前に私が宮城県バレーボール協会に問い合せてたの覚えてる?』
「あぁ、審判の講習だろ」
『そう!この前練習試合で審判やらせてもらってからもっと勉強したいなと思って。あんまり前例はないけど、C級なら私の年齢でも取れるってことと、見学も大歓迎ですって返事くれたの』
「そうか、良かったな」
『うん!今日のお昼に武田先生に相談したら心から応援するって言ってくれたし、早速今週の木曜日の放課後に行ってこようかと思って』
「そういうのって普通土日にあんじゃねえの?」
『なんか木曜日のは、全体の講習会よりも少ない人数で本格的にやる勉強会みたいので興味があればって言ってくれたんだ』
「へえ、テスト前にな…満点の余裕かよ」
『余裕なんて別にないよ、そっちの勉強ももちろん頑張る!』
「いいじゃねえか、頑張れよ」
『うん、ありがとう』