第20章 されど空の青さを知る
影山 side
『あ〜そっか、こうやって思い返してみるとあんなに小さい頃から私は影山くんに助けられてたんだね…なんか、いつもありがとうって伝える母の日みたいなの作ろうかな、飛雄の日って』
「なんで年1なんだよ。毎日言えばいいだろ、聞いてやるから」
『なんか癪だからやっぱやーめた。…ってかさ、昨日国見くんがGPSとかいうから、私お風呂の時探しちゃったよ』
「そういや何なんだGPSって」
『グローバル・ポジショニング・システムっていう位置情報を特定するためのシステムで…って、影山くんこんなのも分からなくてテスト大丈夫?勉強切り上げて帰ってきてる場合じゃないんじゃないの?』
「は?せっかく勉強してたのに、お前が泣いてるっつーからわざわざ帰ってきてやったんだろうが!」
『は?なにそれ、別に私帰ってきて欲しいなんて頼んでないですけど!?』
「じゃあ、あんなにベソベソ泣いてんじゃねぇよ!理由だってくっだらなかったしな!」
『あれは私が自分で送ったんじゃありません〜、あんたのパパが送ったんです〜!それより、写真見てすっ飛んで帰ってくるなんてさすがに心配性すぎない?KinKiなの?電車に乗せるのも嫌がっちゃうわけ!?』
「写真だけじゃねえ!」
『じゃあ他になにがあんの?』
── 〈好きな女泣かしてんじゃねえぞ、ボケ〉
「っ……うっせえな、別にどうだっていいだろ!つーか帰ってきてみりゃお前いねえし、見つけたと思ったらあんな人通りも少ねえとこでフッた男と2人で何やってたんだよ!」
『べ、別にただ話してただけだし!?ホントたまたま会っちゃったんだからしょうがないでしょ!?』
「へえああそうかよ、じゃあお前はフッた男と “ただ話す” 時もあんな近え距離に座る人間なんだな?」
『違う!あれは国見くんが!』
俺は昨日からモヤモヤしていたことを口にした。