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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第20章 されど空の青さを知る


影山 side

「お疲れス」
『お疲れ様でした!』


俺たちはいつもの場所で先輩たちと別れて自宅までの道を歩いていた。今日も午前練だけで今は昼過ぎ、強くなりはじめた太陽の眩しさに目を細める。


『影山くん、幼なじみと喧嘩しちゃったんだって?』

「あ?」

『無事に仲直りは出来たのかなぁ?』

「……クソ」


『冗談だよ!でもそっかぁ、影山くんも私との喧嘩でダメージ負ってたんだね』

「負ってねぇ」

「嘘おっしゃい、私聞いたんだからね!部活中も勉強中も喧嘩した幼なじみのことを考えながら眉間にしわ寄せてたって」

「考えてねぇ」

『ふーん、…私はさっき潔子先輩から昨日の美里ちゃん元気なさそうだったって言われたし、自分でもその通りだったと思ってるけどね』

「……」

『その日のうちに仲直りすれば良かったなあってすごく後悔した』

「鈴木さんが無視したからな」

『だからそれを後悔してるって言ってるの!…にしても影山くん、昨日途中で抜けて急いで私のところに来てくれたんだって?』


余計なこと話しやがったな…どっちだ、谷地さんか?


『あんなに息切らして汗だくになってさ…そういえば影山くん、どうしてあの場所がわかったの?神社の近くではあったけど、普段通らない脇道だったのに』


「まぁなんとなく」


『…なんとなく?』

「自分でもよくわかんねえ、階段登ろうとしたけど足が勝手にソッチ向かってた」

『そうなの?…不思議なこともあるもんだね』

「別に不思議でも何でもねえだろ、昔からよくある」



『昔から…あっもしかして、小2の時のアレも?』

「ああ、多分な」


小学生の頃、放課後にクラスのみんなでかくれんぼをした時、鬼が美里だけを見つけられなくて最後は先生も含めて全員で捜索したことがあった。


『隠れたは良いけど誰も見つけてくれなくて、出ていこうとしたらドアが開かなくてさ、その時は外側からしか開かないドアがあるなんて知らなかったからすんごく焦ったなぁ…』

「ビービー泣いてたもんな、お前」


『だって怖かったんだもん、もう一生ここから出られなかったらどうしようって…でも、飛雄が見つけてくれた』



あれ以来、美里は極度の怖がりになってしばらくあらゆるドアを閉めることが出来なくなったんだっけな。

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