第20章 されど空の青さを知る
「……はぁ…ッはあ」
『ちょっと、ねえ汗すごいよ?』
私がハンカチを差し出すと、飛雄は私を睨みつけてからひったくるように奪って顔を拭いた。数回深く息を吐いた飛雄は、それだけで少しずつ呼吸が落ち着いていった。日頃のトレーニングの賜物なのか、素直にすごいと感じた。
「は?…影山、お前何しにきたわけ?」
「…あ゙ぁ゙?鈴木さんを探しにきたんだよ」
『えっ』
「なんで」
「関係ねえだろ、てかお前こそ鈴木さんに振られたくせにこんなとこで何してんだよ」
「っ…それこそお前に関係ないだろ!てか邪魔すんなよ」
「…邪魔したのか?」
飛雄は少し驚いたように私を見た。私が首を振ると、再び国見くんを睨みつける。
「てめえ」
「なんでここが分かったんだよ」
「鈴木さんがどこにいるかくらいわかんだよ」
「こっわっ!鈴木、こいつにGPS付けられてんじゃないの?」
『え、うそ…』
「つけてねえ!」
「それにしても、 “飛雄” ね…鈴木と幼なじみなら、ただそれだけで名前で呼んでもらえるんだ。すげー胸糞悪いモン聞いた」
「?……お前国見に話したのか?」
『と、…影山くんに言うの忘れてたね…ごめん』
「今更遅いんですけど。てかそもそも、そういうのマジ何のためにやってんのかわかんないわ」
「俺たちで決めたことなんだから、お前にわからなくて当然だろ」
『影山くん…』