第20章 されど空の青さを知る
影山 side
どれくらい走ったのか、
身体中を汗が流れて、喉からは血の味がする。
普段のランニングと速さはそう変わらないのに、いつもより苦しい気がするのは心が焦っているからなのか。
はち切れそうな心臓を押さえながら、あの場所へと向かう。
美里の居場所はきっとあの神社だ。
子供の頃から一与さんとよく来ていた場所。
目の端に見えてきた神社の鳥居まであとわずか。
「は…っあ、はあ…ッ…」
鳥居の下で膝に手を付きながら階段を見上げる。
何故かは分からないが、その先で美里に会えるイメージがちっとも湧いてこなかった。
いや、間違いない。
美里はここにいるはずだ。
頭ではそう思っても、体が言うことを聞かない。
「…っはあ…っは」
ふと、神社の脇へと繋がる曲がり角が目に入る。
…あの道ってどこに繋がってたっけか?
そんなどうでもいいことが突然頭に浮かんで、足が勝手にその角へ動き出す。
こんなところ、どこに繋がっていようがどうでもいい。そんなことよりも早く美里を見付けないと。深く息を吸って呼吸を整えながら、襟で汗を拭う。
曲がり角についてその先を見ると、
見覚えのある姿が目に飛び込んできた。
──国見?
胸がざわつくような嫌な予感がして数歩進むと、
「!」
その隣にいたのは俺がずっと頭に思い浮かべていた人物だった。