第20章 されど空の青さを知る
『っ…く、にみくん』
私を見つけてこちらに歩いてくるシルエット、見慣れない私服姿だけど間違いなくあれは国見くんだ。どうしてこのタイミングで、出来れば会いたくなかった人に会ってしまうのだろう。
「やっぱり鈴木だ、偶然だね」
『そ、そうだね』
「家こっちのほうだっけ?」
『まぁ遠くはないけど、近くもないかな…』
「なに…お前、泣いた?」
『えっ…!?』
「目、真っ赤だけど」
『泣いてないけど…花粉かな』
「あのさ、誤魔化したいならもっと上手に嘘ついたら?」
『………』
「まあいいけど。ねえ、せっかくだしちょっと話さない?」
『国見くんは、何か用事があったんじゃないの?』
「別に、暇だからジャンプ買いにきただけ」
ガサッと持ち上げたビニール袋の中には、確かにジャンプがうっすらと透けて見えた。
歩き出した国見くんを目で追っていると、くるっと振り返って「来ないの?」と言うので後に続いた。
いつもの神社からほど近く。
ぽつんと設置されたベンチに並んで座った。