第20章 されど空の青さを知る
影山 side
「だれの?」
「……俺、」
ポケットからスマホを取り出して指紋認証をすると、美里のLINEの画面が開かれた。
…既読ついてねえ。
まさかアイツ学校で待ってたりしねえよな?
今の通知は、父さんからのLINEだった。
「!?」
送られてきたのは泣いている美里の写真と、
〈好きな女泣かしてんじゃねえぞ、ボケ〉
というメッセージだった。
「っ…は?なんで泣いて、」
「どうした?影山」
「悪い、俺帰る」
「なっ、おい!」
「谷地さん、スンマセン!アザっした」
「あ、うんっ!」
「あら?もう帰るの?」
「バタバタしてスンマセン、お茶とお菓子ご馳走様でした」
「いいえ〜、何のお構いも出来ませんで」
「そんじゃ、お邪魔しました!」
廊下に出て、エレベーターのボタンを連打する。
頭の中に浮かんでくるのは、送られてきた写真の中の美里。
…どうしてそんなに悲しそうな顔で、
どうしてそんなに苦しそうに涙を流すんだ…!
俺のせい、なんだよな?
なら、せめて
「俺の前で泣けよ…っ」
じゃないと、涙を拭ってやれない。