第20章 されど空の青さを知る
影山 side
「絶対なんかあったじゃん!なになに!」
「だから、なんもねえんだよっ!いいから早く勉強しろよボゲ!」
全く引かない様子の日向にため息をつきながら熟語をノートに書き写していると、谷地さんが口を開いた。
「…でも影山くん、気になってるんだよね?」
「………いや、別に」
「気にしてんじゃん」
「うるせえ」
「…気にしたまま勉強続けても、頭に入らないんじゃないかな?」
「だよな、谷地さんの言う通りだぞ影山」
「あ゙?」
「アッアドバイスなんて偉そうなことは出来ないけど!…話を聞くくらいなら出来ると思う…から……どうかな?」
日向の好奇の目は他所に移らないし、うっかり口にした自分もバカだった。…別に誰か分からなきゃ言ってもノーダメージか。
「……喧嘩した」
「誰と?」
「お……幼なじみと」
「影山くんの幼なじみ…」
「影山にもいんのかよ!」
「にも、って?」
「メガネノッポ月島と山口は幼なじみだし、あと鈴木さんも青城の男バレ13番と幼なじみ!」
「へえ、そうなんだ!…それで喧嘩ってどんな?」
「…よくわかんねえ」
「は?…ソレ絶対お前が悪いだろ」
「決めつけんなよ!」
「ちょっと日向!影山くん、事の経緯を…」
「あー…中学ん時そいつに勉強教えてもらったんだけど、途中でこれ以上は無理だと思ってもういいって言った」
「おまえー…」
「まあまあ日向、最後まで聞こう?」
「そんで昨日、その時の話を突然されて…教え方が下手だから断ったのかって聞かれたから、そうじゃなくてお前が近くにいると集中出来ねえっつって……最後、泣いた」
「お前が?」
「なんで俺が泣くんだよ、幼なじみがだよ!」
「な、泣かれたってお前…まさか相手は女子か!?」
「…悪いかよ」
「いやそこは全く悪くねえけど、喧嘩は影山が100悪い!」
「どこがだよ」
「全部!言い方!」
「…言い方?」
「もー、お前その子超可哀想じゃん!」
日向は頭を抱えてウンウンと唸り出した。