第20章 されど空の青さを知る
「ただい……ま!?美里、どうした!」
『パパ…おかえり』
「お前そんなに泣いて……何があったんだ?」
『…なんかよくわかんない、勝手に出てくる』
「わかんないって…飛雄はどこいったんだよ?」
『飛雄は、谷地さんのお家』
「やちさん?」
『バレー部のマネージャー候補の女の子…可愛くていい子』
「マネ…おんな……はあっ!?」
パパのこの驚いた顔、飛雄にそっくりだ。
「あ、あいつに限ってそれはないだろ〜」
『ほんとだよ…?それで私に先帰れって』
「……な、んでだ?」
『勉強教えてもらうんだって、テスト近いから』
「美里がいるのに?」
『私じゃだめなんだって…』
「どうして?」
『…そのことで昨日喧嘩したの』
「喧嘩って…飛雄とか?」
『うん…中学の時に私が勉強を教えてたら、途中でもういいって断られて…あれは私が教えるのが下手だったからでしょって言ったらそうじゃないって言うの…』
「あいつは何が理由だって?」
『私が近くにいると、勉強に集中出来ないからって…』
「ぶフッ」
『パパ?』
「ん゙ん゙っ……スマン」
『私ね、邪魔したり騒いだりしてないし、ただ真剣に教えてただけなんだよ?本当だよ?それなのに』
「うんうん、そうだよな…ったく、あいつは…」
『パパ、理由が分かるの?』
「あ〜…それは、その…なんだ」
『うん』
「あいつの言葉足らずなところはもちろん悪いんだが、全部を責められないというか…わかるだろ、美里もさ」
『…何を?』
「いや…ほら、飛雄も男の子だから…」
『うん、それは知ってるよ?』
「だからさ、な?」
『…分からない、どういう意味?』
「はは……美里にはまだ難しいか」