第20章 されど空の青さを知る
「おーし、帰ってしっかり飯食えよー!」
「「「オス!」」」
私はドリンクボトルを回収して水道へと向かった。シャバシャバとボトルの中を洗いながら昨日のことを思い返す。
『……』
今朝は結局、おはよう以外何も喋らずに学校まで来てしまった。昔からよく喧嘩はしてきたけど、日を跨いでも仲直り出来ていないなんて、これまでに数えられるくらいしかない。
昨夜の飛雄の意味不明な発言や態度には腹が立ったけど、上手く説明が出来ないような感情に任せて布団に入ってしまった私も良くなかったと思う。
…飛雄は謝ってくれていたのに、私はそれを無視したんだ。せっかく仲直りの機会を作ろうとしてくれていたのに。
『……はぁ』
いつまでもこのままは嫌だ。
帰りにしっかり謝ろう。それでお昼は美味しいものを作って一緒に食べよう。
そうだ、そうしよう。
『…よしっ』
私は手の水をパッパッと払ってカゴを持ち上げた。
ボトルを部室に戻して、着替えていると私のスマホが震えた。確認してみるとそれは飛雄からのLINEでこう書かれていた。
〈谷地さん家で勉強することになった、先帰れ〉