第20章 されど空の青さを知る
『そういえば、日向くんってさ…さっきみたいに時々私たちのことを焦らせるよね』
「あぁ、昨日の教室のもな」
『あれの大半は案野さんが悪かったけどね…』
「俺たちが仲良くなれるって、あれどういう意味なんだ」
『半分は言葉通りの意味なんだと思う』
「もう半分あんのかよ?」
『ああ〜いや前にね、私が彼氏欲しいなってクラスで言ったことがあったんだ…それであのあと案野さんに影山くんいいんじゃないの?って言われてさ』
「それで?」
『それで…まぁ、影山くんだけはないかなって』
「おいまて、“だけはない” ってなんだよ!」
『だって私たち幼なじみだよ?ないじゃん』
「………」
『それは影山くんだって同じでしょ?』
「…まあ、お前が俺だけはないって言ってる内はねえだろうな」
『なんだそれ、難しい』
「そのままの意味だよ」
『…うーん?』
「そういやお前、連絡すんのか」
『連絡?どこに?』
「今日なんかもらってたろ」
『あー忘れてた…こういうのって連絡したほうがいいのかな』
「は?」
『たぶん先輩だったし、礼儀的にどうなのかなって…どうしたらいいと思う?』
「あ?じゃあお前、俺がしなくていいって言ったらしねえのかよ」
『うん、しない』
「………っ」
『影山くん?』
「じゃあ、しなくていい」
『わかった、しない』
即答した私に飛雄は、こいつ信じらんねえとでも言いたげな視線を向けた。それをちらりと見て私は空を見上げた。
空には大きな月と小さな星々が寄り添って輝いていた。