第20章 されど空の青さを知る
「おーし、お前らそろそろ上がれー!」
「「「オース」」」
「あれ、俺のジャージどれだっけ」
「やべ、俺もわかんねえ」
みんなアップ前に脱いでそれを重ねたから自分のが分からなくなってしまったんだ、ちなみに私のもその山の中にある。
「俺、こーゆーの得意です!」
そう言って日向くんは、ジャージを手に取って匂いを嗅いだ。
「あ、これ旭さんのです」
「犬か!…あ、ほんとに俺のだ」
「翔陽!すげえな!」
「これがキャプテンので、こっちは菅原さんの…」
「やるじゃん、日向!」
鼻をきかせた日向くんがどんどん仕分けていく。
これ、本当にすごい。
「ん〜…これ鈴木さんの、かな?」
日向くんは少し悩んだ様子で私にジャージを手渡した。
『日向くん、ありがと………う?』
ジャージに腕を通したところで違和感に気付いた。これデジャヴだ。
「でかくね?」
「鈴木のじゃないな」
「おいおい、どうした日向犬」
「あ、そしたらそれ影山の!」
「なに、そしたらって」
「前から思ってたんですけど、影山と鈴木さん…全く同じ匂いするんです」
「はぁっ!?」
『えぇっ!?』
「同じ匂いってなんだよ!」
「なんかエロいな」
「やめろノヤ」
「ってことは…影山の匂いを嗅げば間接的に鈴木の匂いを感じられるってことか!?」
「龍、お前天才かよ!」
「やっ、やめてくださいッ!」
「逃げんなコラーッ!」
「待て影山ーッ!」
「…え?王様、こんな甘い匂いしないデショ」
『やだ、ツッキー!私汗かいたのに!』
「それに同じ匂いとか、柔軟剤が一緒なだけじゃん」
「月島…今本物嗅いだのか!?」
「つっきしまコノヤローッ!」
「鈴木バリア」
「なっ!卑怯だぞお前!」
「甘い匂いとか聞いたら…意識しちまうだろーが!」
『…なんで止まるんですか!?先輩たち、この前もうバリア効かないって言ってくれたじゃないですか…!』
「まて、こっちくんな鈴木!」
『待ってください!』
「ギャー逃げろー!」
「お前ら、いい加減にしてさっさと帰れ!」
「「「…ウス」」」
『はい…』