第20章 されど空の青さを知る
ふと気が付くと、みんなはコートの片付けに入っていた。スコアを埋めることに集中し過ぎてたみたいだ。
『…やばっ!』
慌てて立ち上がると、日向くんの大きな声が聞こえた。
「っくそ、かっけえ…!!」
『なんの話し?』
「あ、鈴木さん!鈴木さんはお遊戯会でどんな役やった?」
『お遊戯会?』
「そう、お遊戯会!」
「鈴木はやっぱお姫様とかだべ!」
「たしかに!鈴木さんのお姫様、絶対似合う!」
『えっと…星、ですかね』
「星?」
『お姫様はやりたい人がいっぱいいたんですよ、それに私にはお姫様よりも星のほうが魅力的だったから』
「え、なんで?」
『それは…』
なんで……そう思い返して、答えはすぐに見つかった。
『わっ、忘れちゃったな…何でだったっけ?』
「えーっ!気になる!」
パッと飛雄と目が合った。
『……っ、』
絶対に言えない、
“月役の人と手が繋ぎたかった”なんて。