第20章 されど空の青さを知る
「清水〜、新しいマネージャーの勧誘してくれてたのかあ!」
「うん…4月の勧誘は足りてなかったって思ったし、美里ちゃんがもっとみんなの練習に向き合えるように余裕を作ってあげたくて」
「そうか、鈴木がサーブレシーブとスパイク練に参加してくれるようになって、うちのレシーブ力格段に上がったもんな」
「でも、全力で練習参加したあと、休みなしでマネの仕事してるのは心配だった」
『そ、そんな…ありがとうございます』
「それに、向こう3年間美里ちゃんがプレイングマネージャーだとしたら、来年には専任のマネージャーがいなくなる…烏野がこれからもっと強くなる為に、マネージャーの仕事もちゃんと引き継いでいかなくちゃって思った」
「「し、清水〜!」」
「「潔子さん〜!」」
『………』
私、マネージャーとして入部したのにやっぱり本来の仕事が疎かになってたんだろうな…潔子先輩は1年の時から1人でマネージャーを担当してきたのに、私は早速来年破綻だなんて…
「美里ちゃん」
『…潔子先輩?』
潔子先輩は私に向かって両手を広げていた。
「私、美里ちゃんにどうして欲しいって言った?」
──「影山だけじゃなくて、私たちにも甘えてくれていいのになって」
──「甘えて欲しいのは本当」
──「期待してる」
『…っ、甘える!』
私は潔子先輩の腕の中に飛び込んだ。
「ふふ、よしよし」
「お、おい清水!なんだよそれ〜!」
「鈴木、俺のとこでもいいぞ!」
「だ、大地」
「ほら鈴木!」
「スガさんまで!よっしゃ鈴木!」
「俺んとこにこォーい!」
「こ、こォーい!」
必死に両手を広げる先輩や日向くんたちに私は涙を流して笑った。涙の理由はその光景が可笑しかったからなのか、嬉しかったからなのか…それは多分どっちもだ。
バレー部のマネージャーになって良かった。こんな瞬間を教えてくれた飛雄には感謝しかない。
『ありがとう…っありがとうございます!』
谷地さん、バレー部はすごく素敵な居場所だよ。谷地さんとこれからこんな気持ちをたくさん共有していけたらなって思うよ。