第20章 されど空の青さを知る
『飛雄の、そろそろ出来るよ』
「ん」
立ち上がった飛雄はスプーン2つとケチャップを取り出して、私の横に並ぶ。
「あー…すげえ美味そう、腹減った」
『はい』
「ありがとう」
『先に食べて良いからね』
同時に食事が出来上がらない時、私はいつも飛雄にそう声を掛ける。でも飛雄はどんなにお腹が空いていても、私の方が出来上がるまで手を付けない。一緒にいただきますをしてくれる人だ。
オムライスにケチャップを掛け終えた飛雄は、目の前のオムライスをじっと見ていた。
『ふっ…待てしてる』
「あ゙?」
『ごめんごめん、急ぐから…』
私はフライパンの上で焼きあがった卵にチキンライスを乗せて、柄の部分をトントンと叩く。くるりと巻かれ、完成したオムライスを皿に盛った。
『お待たせ』
椅子に座った私をチラリと見て、手を合わせる。
「『いただきます』」
モリッとスプーンでオムライスを掬った飛雄は、大きな口を開けて頬張った。
『ズッキーニ入れてみたんだけど、どうかな?』
「えひゃふひゃふへえ」
『ふふ、それは良かった』