第20章 されど空の青さを知る
──土曜日の昼。
今日は部活が昼で終わりだったので、12時30分頃家に帰ってきた。
『「ただいま」』
影山家は誰もいないようで、シンとしている。
『あれ?パパとママいないの?』
「なんも聞いてねえな」
『うちもかな……お母さーん?』
私はリビングの連絡ドアを開けて、確認する。私の後ろからリビングを覗き込んだ飛雄は「お父さんたちもいねえんだな」と言いながら手を洗いに行った。私もその後を追って隣に並んで手を洗う。
『ねえ飛雄』
「オムライス」
『いいねえ』
うがいをしてリビングに戻ると、飛雄は冷蔵庫から牛乳を取り出した。コップを2つ出したところを見ると、私も強制的に牛乳らしい。
オムライスを作りながらダイニングテーブルの飛雄を見ると、いつものようにバレー日誌を書いていた。
私は昔からバレー日誌と向き合う飛雄を見るのが好きだった。バレー以外ではなかなか見ることのない真剣な眼差し。私はそれを素直にカッコイイと思っていた。…もちろん本人に伝えたことはないけれど。
チキンライスを炒めながら盗み見ていると、バチッと目が合った。
『!』
「……なんだよ?」
『ん?なんでもない』
ドッドッと暴れる自分の心臓に不思議な気持ちになる。なんで?別に飛雄と目が合った、ただそれだけなのに。
『ん〜…なんだろ』
「なんか言った?」
『今、人体の不思議を感じてたところ』
「は?」