第20章 されど空の青さを知る
月島 side
「影山も勉強出来ないって意外だよな〜頭の回転速そうなのに。日向は見たまんまだけど」
「頭ん中、完全にバレーのことだけなんデショ」
「月島!…さん!」
突然背後からバカでかい声で名前を呼ばれて、心臓が嫌な動き方をした。僕らが振り返るとそこには、バカ2人がいた。
「勉強教えてくれ!…さい!」
なにこの人たち、それ頼むために追いかけてきたわけ?
「えっ 嫌だけど」
「ぐぬ…1日数十分とか!それか勉強法をチョコッととかでも!」
「……」
「部活前後にちょっとくらいならいいんじゃない…?」
チラッと隣を見ると、影山は何も言わずにムスッとした顔で僕を見ていた。
「ちょっと〜、小さい方にばっか頼ませるって卑怯じゃないの?そっちのでっかい方」
「!……ぎっぬぬぬ」
変な音を出して顔を歪めた影山に笑いそうになる。
「……おしえてください」
「はい?」
「べんきょう……おしえてください」
「よく聞こえないんですけど〜」
「勉強をォォォォオオ!
教えて下さいゴラァァァァアアア!!」
「「『わあ!?』」」
ガララッ
「うるせえぞお前ら!近所迷惑だ!」
「「「…さ、さーせん」」」
『す、すみません!』
「なんで僕まで…」
「あれ、鈴木いつの間に?」
『…影山くんが叫び出したところで合流した』
「不運だね」
「じゃ、じゃあ明日の部活後から頼んだぞ!じゃーな!」
立ち漕ぎで去っていく小さい方のバカと不機嫌そうに口を尖らせる大きい方のバカを見て、僕は盛大な溜息を吐いた。