第20章 されど空の青さを知る
『…えっ、新しいマネージャー…?』
「ある程度候補が定まってから伝えようと思ってて、決して黙っていた訳じゃないの、ごめんね」
『もちろんわかってます…でもそれって、やっぱり私がこれまでみたいにマネージャーの仕事を出来なくなったからですよね…?本当にすみません』
「美里ちゃんが練習に参加するようになったことは、たしかにマネージャーを探そうと思ったきっかけではあるよ。でも、それは現状のマイナスを補うためのものじゃない」
『……』
「美里ちゃんが練習に入って、澤村たちは確実にスキルアップ出来てるって喜んでたし、西谷や影山…そして他のみんなも美里ちゃんに負けてたまるかって今まで以上にやる気に満ちてるのを感じるんだ。だから美里ちゃんがもっとみんなの技術向上に向き合えるようにサポートしたいって思ったの」
『…潔子先輩』
「だから、絶対に自分を責めないで」
『はい、ありがとうございます……実は今日澤村先輩に言われたんですよね、他人に甘えろって』
「うん、私もそう思ってる」
『え?』
「影山だけじゃなくて、私たちにも甘えてくれていいのになって」
『かっ、影山くんですか!?』
「…影山、勉強は苦手かもしれないけど、美里ちゃんを甘えさせるのは得意みたいだから、教えてもらいたいくらいだよ」
『何言ってるんですか!』
「ふふっ冗談…でも、甘えて欲しいのは本当」
『…潔子先輩は私のお姉ちゃんなので、そんなことを言われたらたくさん甘えてしまいそうです』
「期待してる」
そう真面目に返した潔子先輩とパッと目が合って、私たちは同時に吹き出した。