第20章 されど空の青さを知る
『はっ…え、なに!?どうしたの!?』
「…しらない」
「あ、あか…赤点って!何点ですか!?」
「日向そっから!?」
「影山が息してません!」
「ぶっ王様…ちょ、鈴木も見て」
『!…め、召されてる』
顔面蒼白で口から魂でも出てそうな飛雄は、ピクリとも動かない。
「…赤点はないデショ」
「ないね」
「ツッキー自信あるの?俺はちょっと頑張らないと心配かな〜…」
「俺もだな〜」
「きょっ、教頭先生に一生懸命頼めばきっと…!」
「まずは一生懸命赤点を避けなよ」
「教頭先生の承諾を貰えても、補習になった場合補習が優先だよ…!」
日向くんは、ガーンという効果音でもつきそうな顔をしたかと思うと、コーチの元に駆け寄った。
「コーチッ!!」
「…ま、まぁ学生である以上避けては通れんよな…」
「そんな…!」
「根性だ!気持ちが大事だぞ!」
「精神論!…この際それでもいいので勉強教えてくださいッ!」
「…日向よ、あまりこんなことは言いたくねえが、俺が勉強出来るようなタイプに見えるか?」
「はっ………」
「…その反応は失礼デショ」
『たしかに』
「ひ、日向…そこまで思い詰めなくても多分大丈夫だよ」
「!…俺、高校入ってから60点満点の小テスト2ケタ以上の点数殆ど取ったことないですけど大丈夫ですか!?」
「えっ」
「えっ…」
「鈴木」
ツッキーに肩を叩かれてその指の先を見ると、田中先輩たちが手を合わせて悟りを開いたような顔をしていた。
『ぶフッ!ツッキー悪質』
「おいお前ら!菩薩顔やめろ!諦めてんじゃねえよ!」
「やればできるダイジョウブダイジョウブ…」
「先生もしっかりしろ!」
「うわあぁあぁああああ」
「ぁぁあああぁああ……」
「っははは、阿鼻叫喚!」
『わ、笑い事では…っ』
「2人とも笑いすぎ!」