第19章 能ある烏は翼を隠す
烏養 side
「コーチ、止める方って?」
「…まあ見てりゃわかる」
先程よりも柔くサーブトスを上げた鈴木は、流れるように助走を切ってふわりと飛び上がった。
トッ…
軌道を定めずに空中を漂う無回転のボールは、リベロの手前でクンッと急降下した。
「ぁっ…!」
オーバーからアンダーへの切り替えが瞬時に出来ずボールは床へと転がった。
「え……う、うそ…ジャンフロ?ねえ鈴木、今のジャンフロだよね!?なんで!?なんで鈴木がジャンフロ打てるの!?」
鈴木に駆け寄った山口の震えた声が体育館に響く。
「はぁ?おいおいジャンフロ!?」
「嘘だろ…?」
「…鈴木、マジか」
「鈴木さんかっけえ!何でも出来んじゃんすげえ!」
「………」
これには影山も驚いたのか、目を見開いていた。