第19章 能ある烏は翼を隠す
月島 side
最後のサーブ権は4組。
誰が打つか相談をしている。
そんな時、
「おっ…思い出したァァアア!!!」
突然隣の日向が体育館中に響き渡るくらいの大きな声を上げた。
「バカ!急にデカい声出さないでよ、バカ!」
「びっくりした…っ」
「で…何を思い出したって?」
「鈴木さん…サーブ打ってました…」
「サーブ?」
「いつだよ?」
「お、俺と影山が入部させてもらえなくて、体育館を締め出されてたときに…外で!」
「は?すげえ前だな」
「どういうこと?」
「飛んでったボールを拾ってくれて…影山に戻す時、ジャンプサーブ打ってたんです、鈴木さんが!」
「「「は!?」」」
「だよな、影山!」
話を振られた王様は、チラッと一瞬コートの中の鈴木を見た。
「はい、見ました」
「影山が言ってるってことは…本当なのか?」
「いや、ジャンプサーブは俺にだって出来ねえんだ…鈴木に出来るなんて信じられねえ、というか信じたくねえ…!」
「田中さん本当ですって!俺たち見たんですよっ!」
「でも、なあ…」
「そんなに疑うなら、今見せてもらえばいいじゃないですか」
「おー!影山ナイス!おーい鈴木さーん!!」
『ん?すごく嫌な予感』
「ジャンプサーブやって!」
『へっ?』
「打ってたじゃん!ジュースくれた日!」
鈴木は一瞬戸惑ったように頭をかいて、パッとネットの向こう側を見た。そしてニヤリと少し悪そうな顔をして、いいですよと言った。