第19章 能ある烏は翼を隠す
月島 side
バシンッ
「…っうわ!」
鈴木の放ったスパイクは、例の女子の腕にぶつかって跳ねた。
その光景はまさにデジャヴ。
つい先程見たものと、よく似ていた。
トットッ…ト…
結構な外野がいるのに、ボールの弾む音まで聞こえてくるなんてきっと普通なら有り得ない。
でも、それを実現させてしまうのが鈴木らしいと思った。
『…あ、ごめんね〜!私、下手っぴで…わざとじゃないからっ!』
「……ッ!」
風船が破裂したように一気に歓声が沸き起こる。コートの中でも同じように鈴木の周りにメンバーが群がっていた。
「鈴木さんすごい!」
「すごい音した!ばしんって!」
『へへ…よかった上手くいって、山野さんのトスのおかげ』
「とにかく高いの上げようって鈴木さんに聞いたから!」
「あの、鈴木さん…ありがとう」
『ううん、友達を傷つけるヤツは許さないってシャンクスから学んだからね!』
「うぅ…美里船長〜っ!」
ケラケラと笑う鈴木を見ながら、僕らはポカンと口を開けたまま動けなかった。
…今僕たちは何を見たのだろうか。
3組 9-9 4組
そして、いよいよ両クラスのマッチポイント。