第19章 能ある烏は翼を隠す
月島 side
「先輩たち、鈴木さんの応援しないんですか!?」
「や…、今のってさ…もしかして」
「あいつ、煽ってアウトを誘導したッスよね?」
「え?」
「それだけじゃねえよ龍…今鈴木、レシーブの位置をエンドギリギリに取ってたぜ」
「…煽って自分を狙わせて、更にアウトを誘う作戦」
「大地さん…マジすか?」
「いや、言っといてなんだが俺にもわからない…」
「でもその仮説が正しければ鈴木は完全に経験者、ですよね 」
「…経験者?あれ、俺鈴木さんのことでなんか忘れてるような…」
3組 9-8 4組
相手のマッチポイントであることには変わりない。
案野さんのサーブを向こうのリベロが返した。
「ん?レシーブっていうより…トス」
それに合わせるようなジャンプからの強打。
『……ッ!』
鈴木の動きは、まるで西谷さんのようにしなやかなモーションだった。完全に威力を殺したレシーブを今度は山野さんがアンダーで高く上げる。
「おおすげえ!」
「高っ」
「鈴木さーん!!」
『うん、最高っ!』
山野さんにそう返事をした鈴木は、いつの間にか下がっていて高く上がったボールをじっと見ていた。そして、タイミングを図るように飛び出した。
「「「!?」」」