第19章 能ある烏は翼を隠す
月島 side
3組 7-6 4組
攻めて稼いだ得点というよりも、お互いのミスで嵩んだ得点。鈴木は元気そうだけど、長いラリーで周りに疲れが出ているようだ。
「きゃっ…!」
すると、ボールを追いかけている最中に3組の女子が転んだ。どうやらその女子は足を挫いてしまったらしく試合に出ることが難しくなった。男子しか応援のいない3組の女子には、代わりの出場者がいない。
「…どう、しますか…もうメンバーいないんスけど」
影山が先輩たちを見た。これは棄権か…先輩がそんな話をしていた時、
「私、出ちゃダメかな?」
「え…杵島さんが、スか」
「だってここまで来たのに棄権なんて…」
「…ふ、」
そもそもバレー部が1人入ってることすら特例措置なわけでしょ?そこにもう1人出たいなんてバレー部の立場からよく言えるよね…あの女子の強かさに笑えてくる。公式試合ならまだしも、これ球技大会だよ。
「月島、性格悪いな〜」
「菅原さんだって笑ってるじゃないですか」
『いいんじゃないですか?私は別に構わないですけど』