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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第19章 能ある烏は翼を隠す


月島 side

ラリーがしばらく続いて、3組の人がスパイクとまではいかないが鋭い球を打った。


1点取られたか、と思っていると…






トッ





落下地点にいた鈴木が綺麗に上げた。


それを麻芝さんが返して4組の得点となった。







それを見ていた西谷さんが静かに口を開いた。





















「……鈴木、やっぱバレーやってたんすか」




「え?聞いたことないけど、…なあ?」

「うん、聞いたことないな」

「ノヤの“やっぱ”ってなに?」


「…サーブ練習ンとき俺がレシーブに入ろうとすると、同じ球狙って落下地点でぶつかりそうになることがあるんスよ」


「それ、偶然じゃなくてですか?」






「俺も最初はそう思ったけど……ホラ、今のも」






西谷さんの言葉にコートを見ると、鈴木は向こうのリベロと同じように簡単な球も際どい球も全て上げ続けていた。



「それにレシーブのあの腰の低さと足の動き、明らかに初心者じゃねえよ」










ああ、だからか……





西谷さんが言うまで全く気が付かなかったけど、決まる攻撃は多くないし鋭いスパイクもないのに、これまで4組が得点を稼げた理由…それはこちら側に球が落ちていないからだ。


僕は驚いているはずなのに、妙に納得してしまった。





きっと守備専門、リベロの西谷さんだからこそ気付けたんだ。この異常さに。




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