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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第19章 能ある烏は翼を隠す


飛雄はひとまず置いておいて、あの日生まれて初めて男の人に抱き締められた。しかも好きだと言われながら。背中と頭に回された大きな手、試合後で上がった体温、汗で湿ったユニフォーム、柔軟剤の香り、頬にふれた髪の毛……もう、全てがリアルすぎて国見くんの宣言した通り、なかったことになんて出来なくなった。


でもこれは別に好きだからではなくて、及川さんの時と同じようにただ私が恥ずかしくて照れているだけなのだと思う。


もしいつか私に好きな人が出来て、その人にあんなことをされる日がきたら、私はどうなってしまうのだろう。少し想像しただけで顔に熱が集まるのがわかった。私は両手で顔を覆う。


『っ…死んじゃう』

「鈴木さん、同じバレー部だからって3組の人にそんな顔しちゃだめ!4組応援して!」

『えっ?』


パッとコート内を見ると、飛雄がトンデモシュートを決めたところだったらしい。ああ全然見てなかった…し、飛雄には申し訳ないが正直それどころじゃなかった。


ふと視線を感じて目を向けると、そこには私を睨むように見つめるキジマさんがいた。私と目が合うと、キジマさんはパッと目を逸らす。



体育着の件は私だってわざとじゃないし、どうしようもないことだったのに…。



『………』




よく知りもしないけれど、
なんだか少し苦手だな、キジマさん。

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