第19章 能ある烏は翼を隠す
「ツッキー!」
「……っ、」
「月島くんナイスー!」
バスケコートの端で私たちは試合を観ていた。ツッキーと山口くんはバスケの素質もあるようで、他のメンバーと得点を重ねていく。ゴール下に188センチが立っていればただでさえ無敵なのに、ジャンプも出来ちゃうからなぁ…。
「おし、影山頼む!」
対する3組には飛雄がいた。ボールを持ってはいけないという刷り込みが強いのか、時々パスをアンダーレシーブしてしまったり、まるでトスを上げるようにシュートを打つ。でもそれが上手くいってしまうのがこの人の怖いところだ。
「影山くーん!ナイッシュー!」
キジマさんは本当に飛雄のことが好きなんだな…恋する乙女の目というのは多分これのことだ。ほんのり頬を赤らめて、ハートマークを浮かべて見つめている。
好きな人かぁ…
── 俺も大好きだよ、美里
『うわぁああっ!』
「鈴木さん!?大丈夫!?」
『…あ、ごめん…なんでもない』
そう言いながら私は頭に浮かんだものを手でパッパッと振り払った。