第19章 能ある烏は翼を隠す
月島 side
1組 3-9 4組
「すごい、4組勝ってるね!」
「そうだね」
4組は、とりわけたくさん攻撃をしているわけではないのに、相手のミスで点差がどんどん開いていく。そして、最後も向こうに返ったボールを1組が床に落として試合が終了した。
ハイタッチをしたり、抱き合って喜びを分かち合う4組。
「月島くん、山口くん勝ったよー!」
「案野さんたちお疲れ様、おめでとう!」
「おつかれ、よかったね」
「あれ、2人とも次試合?」
「うん、そう」
「みんなで応援にいくね!」
「わあー頑張るよ、ありがとう!」
鈴木がいないことに気づいて目をやると、日向のところにいた。
『日向くん、次3組と4組の男子がバスケなんだけど他の3人が出場で…連続審判大丈夫?』
「全然大丈夫だよ!ここから観てるのも楽しいし」
『わかる!私ゲームのときはいつも楽しんでるよ』
「あ、そっかあ!でもすごいよな、俺ハンドサイン咄嗟に出来ないもん」
『日向くんなら出来るよ』
「……そ、そうかなあ」
「審判は身長関係ないんだし、日向はそっちに転向したら?」
「つ、月島ぁああ…ほんっとお前ムカつく!」
『あはは!…じゃあ日向くん、私先生に提出してくるから審判よろしくね』
「わかった、任せてー!」
鈴木に対する他学年の妙な目線が気になって、僕は鈴木とステージに向かいそのまま第1体育館へと向かった。