第18章 フラストレーション
「くそ………がぁぁああああっ!!」
ボールケースに入ったボールをひとつずつ全力で打っていく。ついにはボールがなくなって、俺は走り出した。
「はぁ…はぁ……」
「っ…はァ……」
「……勝ち、てえ」
日向のその言葉に、俺は決心した。
「…俺はもう謝んねえ……謝んなきゃいけないようなトスは上げねえ…!」
「時間ない……止まってる暇、ない」
「なにしてるの?」
「!?…きっさっしっ…みず先輩…!」
「あんまり奇声を発しないように…部室まで聞こえた」
「ハッ!…フィ!」
「「潔子さ〜ん!!」」
2年の先輩たちが全員。
「潔子さん、今日も美しっす!」
「あなたに会いにきましたァー!」
「怪我すんなよー」
「先輩たち、今日休みじゃ…」
「じゃあなんでお前らはここにいるんだ?」
「ちわっす!」
「…ねえ、キミそこで何してんの?」
『あ……あの、これは』
「死ぬほどダサい格好だね……あ、ちっす」
『うるさっ……あれ!?こんにちは!』
山口と月島…と美里。
「あとは3年か…」
「でも今日は元々部活ないし……」
「おいおいおい!3年が引退なんかするわけねえだろ」
「えっ…どういうことですか?3年…3年生は残りますよね?春高に行くって言ったの、変わらないですよね?」
すると足音が近づいてくる。
姿を見せたのは3年生だった。
「遅いっすよ!」
「行くぞ……春高!」
「「「よっしゃあー!!」」」
部活は休みのはずなのに、全員が体育館に集まった。俺が美里を見ると、あいつもまた嬉しそうに俺を見ていた。
フラストレーション、俺だけじゃねえ。
烏野全員、欲望に飢えてる。
強くなる、
もっともっと。
もう負けないために。